撮影ボックスで立体写真を撮る
撮影ボックスを用いて、立体写真を撮りました。本来、1 台のカメラで立体写真を撮るのは難しい作業です。今回、カメラを固定し、撮影ボックスを動かすことで、簡単に立体写真が撮影できました。
使用したのは、次の機材です。
- 撮影:撮影ボックスとカメラ、三脚
- 鑑賞:スマートフォン、簡単な3 次元(3D)ビューワ
立体写真
立体写真を撮る場合、被写体を別々の場所、2 箇所から撮影します。
例えば、
- 1 枚目:被写体を正面から撮影
- 2 枚目:カメラを左に移動し、被写体をやや左から撮影
また、立体写真は撮影後、3D ビューワなどで鑑賞します。
そのとき、「立体視が容易な立体写真」は見やすい立体写真です。
- 立体視が容易な写真は、見やすい
撮影条件
立体視が容易な立体写真を撮るには、撮影の際にいくつかの条件があります。
カメラの姿勢
カメラは水平にし、上下や左右に傾かないようにします。
- カメラのパン角、チルト角、ロール角を0 度にします。
カメラを人間の顔に例えると、以下となります。
- パ ン角:首を左右にふる角度
- チルト角:うなずく角度、顎を(引く、上げる)角度
- ロール角:首をかしげる角度
「カメラを水平にする」ことを、人間に例えると、
- 顔をまっすぐ真正面に向けた状態、です
この状態で、1 枚目の写真を撮ります。
2 枚目の写真を撮る前に、カメラを移動させます。
カメラの移動
カメラのパン角、チルト角、ロール角は0 度のまま、真横方向に少し移動します。
これも、人間に例えると、カメラの移動は、
- 顔をまっすぐ真正面に向けた状態のまま、真横に数歩移動する となります。
この移動は、パン角を0 度にするのが難しく、特殊な機材を用いたりもします。
被写体の移動
立体写真は、カメラを固定して被写体を動かしても撮れます。
すなわち、以下の2 通りの方法で、全く同じ立体写真が撮れます。
- 被写体を止めて、カメラを動かす
- カメラを止めて、被写体を動かす
カメラを動かすのは大変なので、撮影ボックスごと被写体を動かした方が楽です。
(繰返し、立体写真を撮るとき、この差は歴然となります)
また、カメラと被写体間の距離(L)とカメラ(もしくは、被写体)の横方向への
移動距離(l)は、一般的に次の関係にあります。
L >> l ・・・・・ ( 1 )
例えば、L が40 cm、l が4 cm
式 (1) の関係により、被写体を移動させた方が、カメラを移動させるより、パン角が0 度からズレにくくなります。
- 被写体を動かした方が、カメラを動かすより、パン角がズレない
立体写真の撮影
撮影概要
Fig.1 は、立体写真の撮影を上から見た図(上面図)です。
撮影ボックス(Shooting box)と被写体(Object)とカメラ(Camera)があります。
カメラが向いている方向に、光軸(Optical axis)が伸びています。
撮影ボックスの中に被写体を置き、2 枚(1st, 2nd)写真を撮ります。
その間、カメラは固定して、撮影ボックスを横方向に動かします(Move)。
カメラの設置
カメラを三脚に乗せ、カメラの姿勢を調整します。
- チルト角とロール角を0 度にします
今回使用したカメラ(Olympus A01)は、チルトとロールが指標表示されるので、それを使用しました。
そうでないカメラの場合、めのこ(目分量)で0 度にします。
- パン角は、カメラの光軸と、撮影ボックスの縁(辺)とが斜めにならないようにします(Fig.1 参照)
この状態で、1 枚目の写真を撮影します。
撮影ボックスの移動
撮影ボックスを「右方向、真横」に移動させます。
撮影ボックスをテーブルの端に置き、テーブルの縁(辺)に沿って移動させました。
移動させる距離は、人間が左右の目玉をまっすぐにしたときの、左右の黒目の中心間距離が目安となります。
そのため、移動距離は、5 cm前後とわずかな距離です【注】。
- 今回の撮影で、移動距離は、4 cmとしました
【注】Fig.1 では移動距離を長く描いていますが、実際は5 cm程度です。
撮影ボックス移動後、2 枚目の写真を撮影します。
2 枚の写真の合成
Paint 系画像処理ソフトを用いて、撮影した2 枚の画像を合成します。
1 枚目を右側に、2 枚目を左側に配置します(Pic.1 参照)。
Pic.1 は、シーサーの立体写真です。
Pic.1 は、スマートフォンと簡単な3 次元(3D)ビューワを使用して、立体写真として鑑賞できます。