エアリーディスクの計算
カメラの「絞り」により、ピント合わせに限界が生じます。
被写体上のある1点が撮像素子上に結像する際、「広がり」を持って結像します。その広がりをエアリーディスクとよび、その大きさをエアリーディスク径とよびます。
どんなにピントを合わせても、エアリーディスク径より小さく結像させることはできません。
(注)撮像素子は長方形で、大きさは縦3.6cm、横2.4cm程度です。
撮像素子については、前回記事「画素ピッチ」をご参照ください。
可視光
地上に降り注ぐ太陽光には色々な波長の光が含まれています。
その中で、波長が360 nmから830 nmまでの光は、人間の目で見ることができるので「可視光」と呼ばれています。
可視光は、波長により、色が変わります。
表. 可視光の波長と色の関係
Wikipedia(可視光線)参考
例えば、緑色の波長は最小495 nm から最大570 nm で、平均は533 nm 、幅(最大-最小)は75 nmとなります。
(注)ナノ(n)は、です。 ナノメートル(nm)は、mです。
回折
回折とは、波が遮蔽物の背後などに回り込んで進む現象です。
身近な例では、回折は、防波堤のすぐ裏側でも海の波が回り込んできてくる現象として観察できます。
可視光は波(波長500nm程度)なので、「回折」現象が発生します。
カメラの場合、絞りが遮蔽物となり、被写体からの光は、絞りを通過したときに回折します。
(注)被写体からの光
被写体からの光は、被写体自体が発光していなければ、太陽などからの光を反射したものです。
エアリーパターン
被写体からの光は、カメラの絞りを通過する際に回折し、撮像素子上に明暗パターンをつくります。
カメラの絞りは「円形開口」形状なので、撮像素子上の明暗パターンは同心円状になります。
被写体を光を発する点の集合と考えると、被写体上のある1点から発した光は、
カメラのレンズから絞りと通過し、撮像素子上に結像します。
その際、画像素子上で1点に結像するのではなく、エアリーパターンとよばれる同心円状の明暗パターンとなります。
図. エアリーパターン
出典:Wikipedia(エアリーディスク)
エアリーディスク
エアリーパターンの中心にある明るい円板状の領域をエアリーディスクと呼びます。
エアリーディスクの大きさ(半径)は、エアリーパターンの中心(最輝部)から第1暗環までの長さです。
エアリーディスクの半径を、エアリーディスク径とよびます。
エアリーパターンは同心円状の明暗パターンなのですが、エアリーパターンの中心からみて、エアリーディスクより外側の領域では、明暗の差が急激に減衰します。
そのため、エアリーパターンの第一近似としてエアリーディスクを用いることができます。
言い換えると、以下となります。
被写体上のある1点から発した光は、カメラのレンズから絞りと通過し、撮像素子上にエアリーディスク径の広がりとして結像する。
エアリーディスク径の計算
エアリーディスク径は以下の式で与えられます。
エアリーディスク径 = 1.22 × λ × F値 ・・・・・ (1)
ここで、λは光の波長、F値はカメラのF値です。
各F値に対するエアリーディスク径を、式(1)を用いて計算しました(下表参照)。
ここで、青のλは470nm、緑のλは530nm、赤のλは700nmとしました。
(注)マイクロ(μ)は、です。 マイクロメートル(μm)は、mです。
表から、以下のことがわかります。
- 同じF値でも、被写体の成分(赤緑青)で、エアリーディスク径が異なる。
- 赤成分と青成分では、エアリーディスク径が約50%違う。
- F値が8で、エアリーディスク径が約5μm。
- F値が16では、エアリーディスク径は約10μm。
エアリーディスク径の計算方法が違うと思いますよ。
ご指摘、ありがとうございます。