HDR写真のすすめ
Contents
HDR 写真は、スマートフォンのカメラでも撮ることができる身近な写真です。
HDR 写真は、控えめに使えば、人間の目で見た景色に近い写真になります。
- HDR 写真:人間の目で見た景色を再現する
デッサン
画家は「デッサン」を学びます。
デッサンでは、目の前の情景を、正確緻密にキャンパスに写し取ります。
- デッサン力:情景を正確緻密に描画する技術力
デッサンの出来の良し悪し判断は、単純明快で、どれだけ正確に情景を写し取ったかです。
よって、デッサンには正解があります。
デッサン力は、画家の基礎体力となり、その後の芸術表現の礎となります。
写真の正解
人間の目で見た景色と同じ写真は、写真の正解です。
写真家がHDR 写真を練習するのは、画家がデッサンを練習するのと似ています。
HDR 写真力は、写真家の基礎体力となり、その後の芸術表現の礎となるでしょう。
- HDR 写真の撮影・現像法は、習得する必要がある技術
(注)HDR 写真を試みることで、カメラの露出に関する知識が深まります
カメラの正解
また、HDR 写真は、カメラ撮像素子のダイナミックレンジの狭さを補完します。
これは、HDR 写真が、「人間の目で見た景色に近い」写真になるのと同じ意味です。
HDR 写真
HDR 写真は、露出の異なる複数枚の写真を最適に合成することで、人間の目で見た景色に近い写真となります。
原理は簡単で、ほぼ同時に、明るい写真と暗い写真を撮り、それらの良いとこ取りをして、一枚の写真に合成します。
- 明るい写真 + 暗い写真 → HDR 写真
例えば、「窓がある室内」の写真を考えます。 窓からは外の景色が見えています。
照度は、大体、以下の通りです。
- 室 内: 700 lx
- 晴天屋外: 100,000 lx
これくらいの照度差があると、1回の撮影で、「室内」と窓から見える「屋外」が、同時に綺麗に写りません。
明るい写真と暗い写真
そこで、明るい写真と暗い写真を撮ります。
- 明るい写真:室内が写っている。屋外(窓枠内)は「白とび」している。
- 暗い写真 :屋外が写っている。室内は「黒つぶれ」している。
HDR 写真
明るい写真と暗い写真の良いとこどりをします。
- HDR 写真の窓枠内: 暗い写真 → 屋外が写っている
- HDR 写真の窓枠外:明るい写真 → 室内が写っている
HDR 写真の例
機材、撮影条件と被写体
機材
- カメラ
- 三脚:必須
- テーブル
撮影条件
- カメラの測光:分割測光(マルチパターン測光)
- 撮影モード:絞り優先オート(Aモード)
- F値:5.6
- ISO:320
被写体
Fig.1 は、被写体のLED ライトです。
撮影時、LED は点灯します。
LED 点灯時、人間の目で見た様子は、以下のようでした。
- LED がかなり眩しく目を細めた。
- LED に光が溢れていたが、個々のLED は判別できた
- LED に近いところの背景(テーブル)は見えない
- LED から少し離れると、暗いがテーブル模様・色が見えた
露出が異なる3枚の写真
Fig.2 は、カメラが自動測光した適正露出での、撮影結果です。
F5.6、1/25 秒で適性露出(±0EV)です。
Fig.3 は、アンダー(-2.0EV)の写真です。
F5.6、1/100 秒で、露光量は適正露出の 1/4 になっています。
- LED は綺麗に写っています
- 背景のテーブルは黒つぶれしています
Fig.4 は、オーバー(+2.0EV)の写真です。
F5.6、1/6 秒で、露光量は適正露出の 4 倍になっています。
- LED は白とびしています
- 背景のテーブルは写っています
HDR 写真
Fig.5 は、Lightroom で、上記 3 枚の写真を、HDR 合成した結果です。
- LED が綺麗に撮れている
- 背景のテーブルは、少し暗いが見えている
Fig.6 は、Lightroom のプラグイン(Google Nik Collection)中のHDR Efex Proを、使用した結果です。
プリセットの「明るい」を選択しました。
- LED に光が溢れつつも、個々の位置・形状は判別可能
- 背景のテーブルは、LED 近くは霞むが、少し離れるとしっかり見える
このHDR 写真は、人間の目で見た光景に、とてもよく似た写真です。